傾聴のスキル「問いかけ」の例を
ご紹介します。
静かな病室での会話です。
ベッドで横になっているがん患者さんと
その方の目の高さまでしゃがんで
耳を傾けている看護師さんを
想像してください。
「私、もう家には帰れないんでしょうか」
「もう家に帰れないと思っているんですね」
【反復】「はい、
だんだん身体が弱っている気がするんです」
「そうですか、
だんだん衰弱が進んでいる気がするんですね」
【反復】「そうなんです、
家に帰りたいけれど、そうできない気がして」
「家に帰りたいけれど、身体が弱ってきて、
そうできない気がしているんですね」
【反復】「そうなんです」
-間-
【沈黙】「お家に帰られたら、何をしたいですか」
【問いかけ】-間-
【沈黙】「うちの子、仕事が忙しいみたいで。
そんなにずっとじゃないけど、
会ってないんです。
どうしてるか気になってて」
「お子さん、仕事が忙しいんですね、
顔を見ないとどうしてるか気になりますね」
【反復】「そうなんですよね…」
-間-
【沈黙】「お子さんに会ったら、何をしたいですか」
【問いかけ】-間-
【沈黙】「ただ、顔が見たいだけなんですけどね。
いろいろ、最近考えてしまうんです。
何だか怖くて、悲しくなってくるんです」
この後も会話は続いていきます。
緩和ケアの場合、
「自分自身に対する理解を深めること」
につながるよう
患者さんをサポートすることが
傾聴の大きな役割になります。
このような会話を積み重ねることにより、
患者さんのQOLの向上、
前向きに生きる力を支える糸口を
見つけていくことができます。
患者さんを支えるご家族であれば、
ぜひ会話の記録をとってみてください。
自分が何を意識しながら話を聞き、
話し手がどのように反応しているかを
振り返ることができるのでおすすめです。